医師から多発性硬化症(MS)もしくは視神経脊髄炎(NMO)と言われて、本を読んできちんとした情報を手にしたいと考えている賢明なあなたへ。
自分の病気を知るため、治療のために本を読みたいと考えるのはとても良い事です。
病気を知らなければあらぬ不安に振り回されるし、対処もしづらいですからね。
ところで、この手の病気関係の本は選び方を間違えると損をする可能性があります。
ここで多発性硬化症患者/視神経脊髄炎(以下、両方の病気をまとめて書く場合はMS/NMOと表記)のための本の選び方をご紹介します。
目次
◆MS/NMO患者の書いた本(闘病記)を選ぶ場合
ここでは闘病記に近いようなMS/NMO患者が書いた本をご紹介します。
闘病記については、ご自分の状況に近い方、勇気をもらえそうな方、気になる方の本を選ぶと良いかと思います。
東大に二度目の合格を果たした直後に病気を発症した内藤佐和子さんの書いた本。
周囲からの病気の不理解、病気で悩む日々について、そしてそこから抜け出すしてからの活動についても書かれています。
・チャランポラン闘病記 多発性硬化症との泣き笑い2000日 林家こん平 著
難病の発症からリハビリ、復帰までの軌跡!15歳で俵一俵を担いで上京、下積みを経て噺家として大成するも難病に倒れ、リハビリを経て奇跡の高座復帰を遂げるまで。力となった家族や関係者への思いがつづられた本です。
・でも、生きてるし、今日も恋してる。~難病女子の婚活ライフ 大橋 グレース 愛喜恵 著
(著者は複数の疾患を抱えていますが、紹介します)
オリンピック代表候補が一転、多発性硬化症と診断。どんどん動かなくなっていく身体。
そんな状況でも、誰よりも明るく元気で愛に溢れた生活を送っている彼女の元気の秘密が一冊の本になりました。
◆MSを知るために本を選ぶ場合
*MSとNMOは症状が似ているのですが、治療法は別です。
(MS患者に効果のある治療薬をNMO患者に使用して症状が悪化するケースあり)
NMOについて詳しく書かれている本が見当たらなかったので、ここではMSの病気を知るための本をご紹介します。
病気を知るために本を選ぶ場合の注意点をご紹介します。
0. ご自分の目的にあった本を選ぶ
病気の事だけを知りたいか、日常生活についても知りたいか、他の患者が何をしているかをしりたいか、目的次第で選ぶ本が変わります。
1. 医師が監修、もしくは医師が書いた本を選ぶ
個人で書いた本もあると思いますが、MS/NMOに詳しい医者が書いていなければ、もしくはそのような医者が監修していなければその本に信頼性はありません。
MS/NMOの患者を何年も診察しているような、専門医が書いた(もしくは監修した)本を選んでください。
2. 2,000円前後の本(患者向けの本)を選ぶ
2,000円前後というのは大よその目安ですが、あまり高価な本は患者向けでなく医療者向けの本である場合があります。
医療者のための本はとても詳しく書かれていて勉強になりますが、医療を知らない一般人には理解できない話が多いです。
ですから、「値段が高いからきっと良いことが書かれているに違いない」と考えずに千数百円、二千数百円くらいの「患者向けの本」を選んでください。
3. ここ数年以内に出版された本を選ぶ
医療は日進月歩。10年前に正しかった情報が今は間違っているというケースもあります。
ここ数年で新薬が出ている場合もあります。
最新の本を選ぶのが正しいとは言いませんが、2,3年以内に出版された本(もしくは2,3年以内に改訂された本)の方がよいでしょう。
(参考)私のお薦め本
多発性硬化症という病気を知るための本でしたら、以下の2冊が私のおすすめです。
①「多発性硬化症完全ブック-第3版」(2011年5月発行)
NPO法人のMSキャビンが発行している本です。
多発性硬化症の症状、診断、日常生活、対症療法について書かれており、複数の医師が監修しています。
すこし難しい部分もありますが、完全ブックと書くだけの内容ではありますね。
ただし、第3版の発行が2011年と古いので、新しい情報は網羅されておりません。
(MSキャビンが定期発行しているバナナチップスも併せて読むと、新しい情報も入ってくるでしょう)
こちらから注文できます → 多発性硬化症完全ブック
②多発性硬化症1年生のためのMS入門書 (2015年12月発行)
多発性硬化症患者の福冨 崇史さんが医師監修のもとに書いた本です。
書籍タイトルに「多発性硬化症1年生のための」とあるように多発性硬化症を全く知らない方が読んでも分かりやすいと感じます。
そして、患者自身が自らの経験をもとに書いているため、具体的で読みやすいですね。
画像をクリックすると注文画面に飛びます →
◆就職等の社会活動、今後の生活を考えるために本を選ぶ場合
難病患者に共通の話題でもありますが、周りとの付き合い、先生との相談、就労、生活支援など。
どのようにすれば自分の日常生活や社会生活が良くなるか、考える必要があります。
これらの事が書かれている多発性硬化症患者のための本は2017年1月現在見当たりません。
しかし、難病患者全体に対して、
「どのようにすれば、病気を受け入れられるか」
「どのように医師と係ればよいか」
「困った時の各場面で、いったいどこに相談すればよいか」
等が書かれている本があるのでご紹介します。
自著の「難病患者の教科書」です。
難病患者が生活し、就労し、病気を気にせず生きていくために必要な情報をまとめたものがなかったので、多くの専門家の力を協力を得て完成した本です。
合計65人の専門家に話を聞き、50冊以上の本を読み、431日かけてようやく完成しました。
難病のある方が利用できる制度や、周囲の方々への相談の仕方、協力の求め方もまとめているので、ご自身の生活を向上させたい場合は書籍をご確認ください。
◆書籍の注文方法(Amazonで購入できますが、念のために注文の詳細を記載します)
もちろん、(私の知っている限りそんな本はありませんが)他の書籍で難病患者が利用できる制度や周囲への相談の仕方が書かれている本があってそれで十分な場合はこの本は必要ありません。
以上が、MS/NMO患者のための本とその選び方でした。
今回の情報を参考にしてご自分に役立ちそうな本を選んでくださいね。
あなたの生活が少しでも快適になる事を願っています。
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